屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

羽搏きて虹渡りたれ島の鳩 嵐の前のコーヒーゼリー

拝啓
9月28日、台風24号チャーミーさんは沖縄の南方にいらっしゃるようです。すでにフェリー屋久島2は欠航ですが、所用で中間辺りまで行くと、なんとサーフィンをしていらっしゃる方々が数組。望遠レンズを持って行かなかったので撮影はあきらめましたが、サーファーには絶好の波のよう。

湯泊まで戻って立ち寄ったのが、以前から気に合っていた童話作家で鹿児島県立図書館長も務めた椋鳩十(むくはとじゅう、1905年1月22日 - 1987年12月27日)文学碑入口の標石。

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小学校国語教科書に「大造じいさんとガン」などが採用されていて、一度は文学碑を訪れたいと思いつつ、今日まで訪れていませんでした。県道路肩に車を止めて小路を矢印の方向に向かうとすぐ

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ほとんど解読不能の案内プレートが草むらの中に。
そしてちょっとした空き地を取り囲むように三つの石碑が。
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真ん中にはは椋鳩十の言葉。
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その左手には案内の石碑。
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椋鳩十と屋久島との縁起が説かれていますが、雑草で下の方が読めないのが物悲しく、島を愛してくれた作家さんに申し訳ないような気持ちになりました。
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椋鳩十と愛猫のモモ(かモモの仔猫)

六角堂にも椋鳩十の本が何冊かございますので、お手に取ってご覧ください。
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で、気を取り直そうと向かったのが、先日訪れたばかりの湯泊温泉「喫茶はまゆ」さん。浜は結構波が立っていましたが、露天風呂では小さなお子さん連れのご家族が入浴中。
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「はまゆ」入口のメニューボードにはネットで見かけた新商品がちゃんと描き加えられておりました。
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店内は顔見知りの方で賑わっており、テーブルの片隅に腰を下ろさせていただいて早速「コーヒーゼリー」を注文。見れば他のお客様も同じものをご注文のようで、大人気の様子。待つことしばし……

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大ぶりのグラスの底に黒々としたコーヒーゼリー。中ほどの粒粒は「自家製グラノーラ」だそうで、お好みで小瓶の「カルーア」を掛けてくださいとのこと。えらい難しコーヒーゼリーやなと感嘆しつつ、まずは何も掛けずに底の方からコーヒーゼリーを引き出すように一口。ほろ苦いプルンプルンが、先ほどの文学碑のほろ苦さと相まってじんわり胸に沁みました。

次にカルーアなるものを掛けて食べる前にスマホで検索。
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Wikipedia「カルーアは、コーヒー・リキュールの一種。 メキシコ産で、焙煎したコーヒー豆とサトウキビの蒸留酒をベースに造られ、コーヒーの風味とコクのある甘味が特徴である。アルコール度数は基本的に20%」とのこと。飲酒運転にならへんかと要らぬ心配しながらたっぷりかけて食べると、10倍うまい!

で、グラスの真ん中の粒粒「自家製グラノーラ」。この手のものにはとんと無知で、またもや検索。
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Wikipedia「グラノーラ(Granola)は、シリアル食品の一種。 燕麦の押麦や、麦、玄米、とうもろこしなどを主とした穀物加工品と、ココナッツ、ナッツなどを、砂糖、蜂蜜、メープルなどのシロップ、植物油とで混ぜてオーブンで焼いたもの。元々は19世紀後半に開発された全粒穀物の生地を焼いて砕いた健康食品に使用されていた商標で、現代の形のロールドオーツを原料としたサクサクするグラノーラは1960年代のヒッピームーブメントにおける自然主義、健康食品ブームの中で誕生し広まった」とか。

サクプチの触感が、ゼリーのトロプルとよいコントラスト。自家製というので何が原料か尋ねれば「ハト麦」とのこと。ここで思い至ったのが「鳩」。おお、先ほど出会った文学碑は椋十ではありませんか!これも何かの運命か⁉それとも文学碑のある湯泊を意識して、数ある雑穀の中からあえてハトムギを選択されたのか?

と言えば旧約聖書のノアの箱舟の話。

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地上に増えた人間の悪事に嫌気が差した神は大洪水で人類を破滅させることに。ただ、善良なノアに命じてノアの家族とすべての生き物のつがいを乗せる箱舟を作らせる。大洪水の後、ノアが鳩を飛ばすとオリーブの葉を加えて戻ってきたことで、新世界がスタートしたことを知る。

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そして神は、二度と全ての生物を滅ぼすことはないと誓い、ノアとその息子たちを祝福し、そのしるしとして空にをかけたのでした。めでたしめでたし。

鳩は平和の象徴。虹色の旗は「多様性」「共存」の象徴島の文化と自然の象徴として、もっと大切にしたいものです。

ところで、長年愛用してきたのがオリーブの葉をくわえた鳩のマークの「ピース」シリーズ。
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ところが来月1日からたばこ税アップで、一箱500円の時代に。吸い始めた頃は80円だったような記憶が。これを機会に人生三回目の禁煙を再開しようかと思ったりもする、嵐の前の夜更け。

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どうか大洪水にだけは見舞われませんように。

敬具