屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島カレー事情 第69回 ココナツの花咲きにけりカレー皿

拝啓

いつ通っても閉まってばかりの六角堂とお思いの島民の方は多いようですが、六角堂コテージは7月上旬から今日までの2か月間、休みなしの連続営業でした。その疲れを体の内から癒そうと向かった先は、平内「naa yuu cafe」さん。

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「注意」の札持つ少年が手招きする角を海側に折れると落ち着いた佇まい。

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お店に入って吊りメニューを見上げると……

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おお、一時カレーを止められたと聞いていたのですが、プレートにちゃんとカレーが入っているではありませんか。席に座ってメニューを開けば、単品カレーも。

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今回は「野菜のカレーライス」ではなく「ココナッツチキンカレー(小鉢、スープ付き)」を頂くことに。カレーライスとカレーはどう違うのかしらんと思いつつ、店内奥の本棚へ。

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何か面白い本はないかと探ってみれば、何と言うことでしょう!

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目に留まったのは先月15日に53歳で亡くなったさくらももこ作「ちびまる子ちゃん」コミックス第1巻、表紙絵にはかき氷。ブログの連載「屋久島あいすくるりん」が終了したばかりの出会い。以前から置いてあったのでしょうが気が付きませんでした。席に戻って表紙を開けば、

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しみじみページを捲る間に、ココナッツチキンカレーが到着。

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特製胡麻ドレッシングが掛かったオクラとゴーヤのスライスに大根の千切りサラダが爽やかな露払い。さてさてカレーを一口頂けば、仄かな酸味とココナッツの甘みがふんわり口に広がり、ココナッツの花が咲いたよう。とてもフェミニンなカレーでした。

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煮込まれたチキンをもぐもぐ噛み締めながら思ったのは鶏肉の扱い。このブログでも「屋久島トリッコロール」なる連載をするほど、島では豚や牛に比べて圧倒的に鶏肉が主流。その鶏肉のどの部分にどんな調理を加えるのか。

ムネ肉は翼を下ろすときに使う大胸筋胸、白っぽい肉で脂が少なく味も淡泊。笹の葉の形に似ているササミは翼を上げるのに使う烏口上筋、ムネ肉の上質な部分で脂が殆ど無く淡白で柔らか。モモ肉は空を飛ぶ鳥には本来重要ではない足の付け根や腿の筋肉、赤みがあり脂や旨味もあってジューシー。それに手羽先、手羽元、キモ、スナズリ……カワを外すか使うのか。

使う肉が輸入肉なのか国産なのか特産地鶏なのか、平飼いなのかどうなのかと素材にこだわるのもよしですが、私の興味関心はその調理方法と料理の仕上がり。お客様が気軽に食べられて、また食べたくなり、食べに来て下さる一品をと。

ピーヒャラ ピーヒャラ パッパパラパ
ピーヒャラ ピーヒャラ おどるポンポコリン
ピーヒャラ ピ お腹がへったよ

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小学生のまる子ちゃん、大人になったまる子ちゃん、子供や孫を引き連れたまる子ちゃんが楽しみにしてくれるコテージやカフェに六角堂を育てて行ければ幸いと、思いを深めた午後のひと時、ご馳走様でした。

敬具



これまで紹介した「屋久島カレー事情」インデックス

  宮之浦 「屋久島ふるさと市場 島の恵み館」
  宮之浦 「カフェギャラリー 百水」
  宮之浦 「こむぎこ」
 横峯   「のどか」
 宮之浦 「やまがら屋」
  原     「ノマドカフェ」
  安房  「umi cafe」
  安房  「喫茶 ケルン」
  安房    「Warung Karang
  宮之浦「浜焼き 悠楽」
  鹿児島市内
 「田中屋」
 「鹿児島市立病院レストランだんらん」
 安房  「ちーぞー」
 永田   「sea & sun」
第56回  薫る風命育む薬の島  ※2017年6月より休業
  原      「食堂 もっちょむ山荘」
  宮之浦「宮カフェ」
  一湊  「なっちゃん食堂」
  小瀬田「mori cafe STAND」
第52回  冬籠るカフェの新たな春待たん  今年最後の豆腐カレー
  原     「ノマドカフェ」
第51回  労の香りぞ高き島カレー  夏には夏の冬には冬の味わいを
  安房  「山カフェ 」
第50回 の濃き緑染み入るカフェカレー  最北のカレー
  永田 「水照玉」
第49回  段々の青き棚田に福来れ  爽やかな女将さんの前途を祝して
  椨川 「たぶ川」
第48回  島に居て上機嫌なる腹の虫   一食の価値あるアートカレー
  麦生 「DAVIS」
第47回  夏雲の島に生まれし海カレー 根っからの島民による全国民のためのカレー
  宮之浦「やくしま食堂」※2018年1月閉店
第46回  赤き子の島に生まれし雨後の昼 和洋の狭間に知るカレーの深み
  安房 武田館キッチンハウス「かたぎりさん」
第45回  物騒な世を鎮めるや島カレー 明日に向かって撃て
  原    「ノマドカフェ」
第44回  年の瀬に飛び立ちて行く背や丸し  EBI Fly to the distance
 安房  「田中屋」
第43回  和も洋も隔てなきなり島カレー 受けて立った宮之浦の戦い
 宮之浦「雲水」
第42回  春牧に昇る旭日を拝みけり 笑顔は究極のスパイスなり
 春牧   「喜楽里」
第41回  先の雫気にせずカレー買う 県道脇のコンテナで作るオヤジに買うオヤジ
 小瀬田 「モリカフェ」
第40回  新月に隠れてうさぎカレー食い カレーが地球を回している
 麦生   「DAVIS」
第39回  の世を写して流る秋の雲 ブタにも「六」がありました
 安房   「ポルコ」※2017年11月閉店
第38回 春にまた戻る日を待つ渡り鳥 また来ってこいよ南国Amara
 安房  「Amara」 ※2016年閉店
第37回 神代より天下りたり愛の秋 姉弟そろって豆カレー
 平内 「アイノワレストラン」(サウスビレッジ内) ※2015年閉店
第36回  あきもせず くるりくるりの島時間 港に香るカレーの風味
 宮之浦 「雪苔屋」※2018年5月閉店→永久保に移転
第35回  島に逃げ極楽とんぼの島カレー 南の村の豆カレー
 平内   「サウスビレッジ」※2015年閉店
第34回  透き通る海を背中に浜カレー 浜辺でスパイシー
 一湊海水浴場 「カレー専門店 屋久島カレー グロース」
第33回  梅雨明けを手土産に来い11号 ここは南国
 安房   「ジャングル・キッチン 近未来」
 楠川   「楠川ふれあいセンター じょんこう茶屋」
第31回  梅雨空に割りてすがしきカレーパン モーニングカレーパン
 尾之間「ペイタ」
第30回  海山にガッツリカレー連れテイク ガッツリ登山弁当カレー
 安房   「かもがわ」
第29回  台風も賑わうアジアの交差点 パワーアップして帰ってきたAmara
 安房   「新Amara 南国酒場」※2016年閉店
第28回  屋久島にアジアの緑風巡り来る 京都からやってきたアジアンカレー
 尾之間  「バリスタイル レストラン&バー Warung Karang」 ※2017年6月より休業→安房へ移転
第27回  ラーメンをスープにさらう島カレー ラーメン屋のカレー定食
 宮之浦 「王龍(ワンロン)」 ※2016年閉店
第26回  脇役のカレー目当てに蕎麦すする カレーやってます
 尾之間 「手打ちそば屋」※2016年閉店
第25回  春雨に煙る木立のカツカレー 縄文登山のカレー
  安房  「杉の茶屋」
第24回  春の午後カレーも香り桜咲く 新しい春のカレー
  尾之間  お食事処「春」(リニューアル店) ※2016年閉店
第23回  県道に萌え出づる春カレーあり 年季の入ったかわいい系喫茶店
  小瀬田「花鈴」
第22回  花咲ける島のカレーに恵比須顔 島に溢れるなんでもありの多様性
  安房  「屋久どん」
第21回  雲間より漏れ出づる陽のカレーかな 輝くカレー
  安房  「島・しまキッチン」 ※2015年閉店

※ 番号の重複をご容赦ください

第21回  岸に香れるカレー求めけり 海を渡って
  鹿児島市 チチビスコ、スリランカ かごしま
第20回  どんぶりに残せる鹿よ悪しからず たしかにしか
  宮之浦「カフェ・ヒトメクリ」
第19回  寒中の陽だまりすくう金曜日 金曜はカレーの日
  宮之浦「陽だまり」
第18回  小寒の温かなるビーフカレー 家路
  安房  「和が家」※2015年9月閉店
第17回  新年のカレーで初心立ち返る 求めるものは店それぞれに
  宮之浦「洋食の寺田屋」
第16回  冬空に一人向かいてカツカレー カァッツ!
  小瀬田「愛子亭」 ※2015年閉店
  春牧   「ふれあい」
第15回  幻のカレーやいずこ天狼星 ここは屋久島
  安房  「萬来軒」 ※2016年閉店
第14回  冬の海眺めてカレー食らう午後 海の見えるカレー
  宮之浦「Bay's Caf'e Jane」
  安房   「和茶灯(わさび)」
第13回 食べることそれは生のあかしなり 木枯らしの吹き荒れる海ボンカレー
  陳列棚のカレー 2
第12回 穏やかな秋のバザーにカレーあり マイルドバザーカレー
  安房  「すみれ幼稚園」
第11回  カレーには味も値段も決まりなし あっぱれなカレー
  原     「ノマドカフェ」
  尾之間「モッチョムビュー トーン」  ※2017年6月閉店
  安房  「田中屋」
第10回  一皿に カレーの美学 香り立ち アートなカレー
  麦生  「屋久島ヴィータキッチン」
  原     「屋久島 ノマド カフェ」
第9回  賭け事は性に合わぬとシカトする 玄関口のカレー
  小瀬田「エアポートやくしま」
  宮之浦「観光センター」
第8回  おいどんにカレーうどんは似合わぬか Aコープのカレーうどん
  陳列棚のカレー
第7回  南蛮の香り受け継ぐカレー蕎麦 熊毛郡ゆかりの南蛮蕎麦
  宮之浦「楓庵」
  安房 「きらんくや」
第6回  カレーから立ち現れし店の主 レストランのカレー
  安房 「ファミリーレストラン かもがわ」
  安房 「サンパウロ」
  原    「オリオン」
  安房 「よろん坂」
  尾之間「モッチョムビュー トーン」 ※2017年6月閉店
第5回  カレー屋と聞けば目覚める腹の虫 カレー専門店
  小瀬田「屋久島カレー茶房 ハイビスカス」
  宮之浦「カレー専門店 屋久島カレー グロース」
  安房   「カレーと多国籍料理の店 Amara」 ※2016年閉店
第4回  手で割って頬張る楽しさカレーパン カレーパン事情
  宮之浦「ひらみ屋」
  安房   「ヒロベーカリー」
  安房   「しいば」
  尾之間「Pain de Sucre パン・ド・シュクル」
第3回  風を待つ街にカレーの風が吹く 「本格」「印度風」ばやり
  島外のカレー
第2回  一皿の命の旨味有難し 樹林のオーロラカレー
  小瀬田「樹林」
第1回  独りでもカレーが繋ぐ人の縁 萬萬亭の500円カレー
  小瀬田「萬萬亭」