屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島ほんの気持ちばかり第3回 冬籠るノマドの「今」を生きる

拝啓

11月にやってきた二つの台風の影響で、今が最盛期のポンカンも収穫が少ないとのこと。小雨しょぼふる冬空に染まってしょぼくれていても仕方がないと、錆付く体をグイっと伸ばし(はるお)へ。目的地は冬ごもり前最終営業日のノマドさん。

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オープン時間に合わせて到着したので一番乗り。

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今日のお目当ては、ノマドさんのブログで知った「バターポークマサラ」

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見慣れた書棚の前に立つと、おや、棚ごとに書籍の分類表示シールが貼られて、これは六角堂も学ぶべきかと。

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数冊抜き出し、パラらとめくって待つことしばし……やってまいりましたポークカレー

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いつもながらの美しい盛り付け。微かな酸味を楽しめるシャキシャキレンコンとプルリンキノコの小鉢、カボチャのポタージュスープが心地よく五感を刺激してくれます。

食後のお茶を頂きながら開いたのは

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前野隆司『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』(講談社刊)。扉には著者のサインが。

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聞けば、ある催し物を兼ねてご来店の際、サインしていただいたとのこと。以前『錯覚する脳―「おいしい」も「痛い」も幻想だった』(筑摩書房刊)を読んだ記憶があっただけに、お話を聞く機会を得られず誠に残念。

死後の世界も宗教をも否定しつつ、究極的なニヒリズムの行きつく先、「今」をいかに情熱的に生きるのかを語る作品。

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合わせて手に取った写真家荒木経惟(あらき のぶよし)の『いい顔してる人』(PHP刊)と重ね合わせてノマドオーナーご夫妻の人柄も垣間見えてほっこり。

次にノマドさんの空間に身を置くことができるのは年明け2月下旬。来シーズンは新メニューも検討中とのこと。

冬籠りからのご帰還、楽しみです。

敬具

PS.生と死をめぐる各種の本。六角堂にもございます。よろしければ年の納にごゆるりご覧ください。



これまで紹介した「屋久島ほんの気持ちばかり」インデックス

鍵井靖章『アシカ日和』
高田渡『バーボン・ストリート・ブルース』