屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島カレー事情 第58回 あざなえる縄の目の間のカレーかな

拝啓

今週の屋久島は大荒れの天気でしたが、禍福は糾える縄の如し。今回は海を隔てた三つのカレーをご案内。

週の初めは、鹿児島市内で一泊し、鹿児島市内で新たなカレーを二つ発見。一つは天文館から中央駅に向かって数分歩いた鹿児島中央ビルの地階「田中カレー」さん。

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メニューを眺めつつ、このお店の一押しは何ですか?と問えばメンチカツカレーとのこと。そこで「ナスメンチカレーを玄米の大盛り激辛で」とお願いすると、閉店間際だったこともあってか「ナスと玄米は売り切れですみません。それと初めてご来店のお客様には激辛はお勧めしていないので」と申し訳なさそうにおっしゃるので……

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「ではメンチカレーの大盛りを“激辛”」とお願いすると、「大丈夫ですか?辛くて食べられないと言って残されるお客様もいらっしゃるのですが」とおっしゃるので、「ご心配なく」と答えて待つことしばし

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お薦めだけあってメンチカツはサクサクジューシーボリューミー。カレーは辛いのは辛いですが、味が分からなくなるような辛さではなく、程よく頭から汗が伝うような爽快感。ご心配かけてすみませんでしたが、ご馳走様でした。

翌日訪れたのは鹿児島市立病院の院内レストラン

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病院の正面玄関入ってすぐ、明るい雰囲気のレストラン(名前は忘れてしまいました)のメニューボードのど真ん中にカレーがあります。

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食券発売機で購入したのは「野菜カレー」。席に付くと昔の百貨店のレストランの趣きでウェイトレスさんが半券をちぎり、「少々お待ちください」と言われて待つこと少々。

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ピーマンやパプリカの色合い楽しく玉ねぎの食感ほど良く、一切の刺激を感じさせない病院ならではのマイルドカレー。サラダに掛けるドレッシングがワサビ風味だったのが新鮮でした。

その後、書店に寄って高速船乗り場に向かうと最終便の安房行きは条件付き出航で宮之浦着に変更。屋久島行きの飛行機は全便欠航、フェリー屋久島2もハイビスカスも欠航で、ほぼ満席。港を出るとすぐジェットコースター状態での翼走。種子島に寄る頃には相当船酔いしている乗客も多数。

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8割ほどの乗客が降りてガラガラになったロケット3は予定より40分ほど遅れて7時過ぎに宮之浦へ。そこから豪雨を突っ切る臨時バスで安房まで。

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翌日は晴れ間の剪定中にアシナガ蜂に刺されるは、流し虫の本格来襲に見舞われるは、その翌日は大雨警報・土砂災害避難準備情報が発令されて落雷に停電……散々な週末を迎えるかと思っていると、安房にヤクシカカレーを食べさせてくれるお店がオープンしたと聞き速攻試食に。

場所は安房体育館から坂を上り、墓地や松峰大橋へと向かう細い道に入ってすぐ。

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その名も「オタク系喫茶 ハンターショップ ちーぞー」さん。

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店内に入ると……

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席に座れば、招き猫ならぬセクシーフィギュアがお出迎え。

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メニューはと言えば……

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シカ肉カレーをと思って訪れたものの、丼も気になって。先日指導を受けた栄養士さんの顔がちらつき「今日は朝ご飯も食べていないし、晩御飯は冷奴とモズクだけにすればよいかも」と自己弁護する己に忸怩たる思いを抱きつつ、「ちーぞースパイシーカレー イエローセットちーぞー竜田揚げ丼ブルーの単品お願いします」と宣言。二つ併せて開店価格1,100円を前払いして待つことしばし。

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カレーのシカ肉は煮込まれて存在を消し去っていましたが、掬ったスプーンにソボロ状の肉がわずかに潜入。セットの「鹿汁」は箸でかき混ぜてみるとヤクシカがボコリと浮上。デザートのロールケーキも店長お手製で、おまけにジュースとコーヒーはドリンクフリー。

カレーはスパイシーなオタク系というよりほのぼの系の味わいでしたが、店内の空間は島の一、二を争う衝撃にあふれています。(ちなみにライバルは 屋久島カレー事情 第23回 「年季の入ったかわいい系喫茶店」 県道に萌え出づる春カレーあり でご案内した八万寿茶園の空港寄りにある「花鈴 KARIN」さんでしょうか)

豪雨と湿気と虫にあふれかえる島の梅雨、スパイシーな刺激で元気を取り戻したいものです。

敬具

追伸
カレーと一緒に頂いた「ちーぞー竜田揚げ丼 ブルー」のご案内に加え、店内の詳しい様子や「ちーぞー・ハンターショップ」につきましては、屋久島丼紀行 第44回 一粒の雨と種にて繁る島でご案内いたしております。よろしければご一覧ください。




これまで紹介した「屋久島カレー事情」インデックス

  永田   「sea & sun
第56回  薫る風命育む薬の島  ※2017年6月より休業
  原      「食堂 もっちょむ山荘」
  宮之浦 「宮カフェ」
  一湊  「なっちゃん食堂」
  小瀬田 「mori cafe STAND」
第52回  冬籠るカフェの新たな春待たん  今年最後の豆腐カレー
  原     「ノマドカフェ」
第51回  勤労の香りぞ高き島カレー   夏には夏の冬には冬の味わいを
  安房  「山カフェ 」
第50回 島の濃き緑染み入るカフェカレー  最北のカレー
  永田 「水照玉」
第49回  段々の青き棚田に福来れ  爽やかな女将さんの前途を祝して
  椨川 「たぶ川」
第48回  島に居て上機嫌なる腹の虫   一食の価値あるアートカレー
  麦生 「DAVIS」
第47回  夏雲の島に生まれし海カレー 根っからの島民による全国民のためのカレー
  宮之浦 「やくしま食堂」
第46回  赤き子の島に生まれし雨後の昼 和洋の狭間に知るカレーの深み
  安房 武田館キッチンハウス「かたぎりさん」
第45回  物騒な世を鎮めるや島カレー 明日に向かって撃て
  原    「ノマドカフェ」
第44回  年の瀬に飛び立ちて行く背や丸し  EBI Fly to the distance
 安房  「田中屋」
第43回  和も洋も隔てなきなり島カレー 受けて立った宮之浦の戦い
 宮之浦「雲水」
第42回  春牧に昇る旭日を拝みけり 笑顔は究極のスパイスなり
 春牧   「喜楽里」
第41回  軒先の雫気にせずカレー買う 県道脇のコンテナで作るオヤジに買うオヤジ
 小瀬田 「モリカフェ」
第40回  新月に隠れてうさぎカレー食い カレーが地球を回している
 麦生   「DAVIS」
第39回  人の世を写して流る秋の雲 ブタにも「六」がありました
 安房   「ポルコ」
第38回 春にまた戻る日を待つ渡り鳥 また来ってこいよ南国Amara
 安房「Amara」 ※2016年閉店
第37回 神代より天下りたり愛の秋 姉弟そろって豆カレー
 平内 「アイノワレストラン」(サウスビレッジ内) ※2015年閉店

第36回  あきもせず くるりくるりの島時間 港に香るカレーの風味
 宮之浦 「雪苔屋」
第35回  島に逃げ極楽とんぼの島カレー 南の村の豆カレー
 平内   「サウスビレッジ」※2015年閉店
第34回  透き通る海を背中に浜カレー 浜辺でスパイシー
 一湊海水浴場 「カレー専門店 屋久島カレー グロース」
第33回  梅雨明けを手土産に来い11号 ここは南国
 安房   「ジャングル・キッチン 近未来」
 楠川   「楠川ふれあいセンター じょんこう茶屋」
第31回  梅雨空に割りてすがしきカレーパン モーニングカレーパン
 尾之間   「ペイタ」
第30回  海山にガッツリカレー連れテイク ガッツリ登山弁当カレー
 安房   「かもがわ」
第29回  台風も賑わうアジアの交差点 パワーアップして帰ってきたAmara
 安房   「新Amara 南国酒場」※2016年閉店
第28回  屋久島にアジアの緑風巡り来る 京都からやってきたアジアンカレー
 尾之間  「バリスタイル レストラン&バー Warung Karang」 ※2017年6月より休業
第27回  ラーメンをスープにさらう島カレー ラーメン屋のカレー定食
 宮之浦 「王龍(ワンロン)」 ※2016年閉店
第26回  脇役のカレー目当てに蕎麦すする カレーやってます
 尾之間 「手打ちそば屋」※2016年閉店
第25回  春雨に煙る木立のカツカレー 縄文登山のカレー
  安房  「杉の茶屋」
第24回  春の午後カレーも香り桜咲く 新しい春のカレー
  尾之間  お食事処「春」(リニューアル店) ※2016年休店
第23回  県道に萌え出づる春カレーあり 年季の入ったかわいい系喫茶店
  小瀬田「花鈴」
第22回  花咲ける島のカレーに恵比須顔 島に溢れるなんでもありの多様性
  安房  「屋久どん」
第21回  雲間より漏れ出づる陽のカレーかな 輝くカレー
  安房  「島・しまキッチン」 ※2015年閉店

※ 番号の重複をご容赦ください

第21回  対岸に香れるカレー求めけり 海を渡って
  鹿児島市 チチビスコ、スリランカ かごしま
第20回  どんぶりに残せる鹿よ悪しからず たしかにしか
  宮之浦「カフェ・ヒトメクリ」
第19回  寒中の陽だまりすくう金曜日 金曜はカレーの日
  宮之浦「陽だまり」
第18回  小寒の温かなるビーフカレー 家路
  安房  「和が家」
第17回  新年のカレーで初心立ち返る 求めるものは店それぞれに
  宮之浦「洋食の寺田屋」
第16回  冬空に一人向かいてカツカレー カァッツ!
  小瀬田「愛子亭」 ※2015年閉店
  春牧   「ふれあい」
第15回  幻のカレーやいずこ天狼星 ここは屋久島
  安房  「萬来軒」 ※2016年閉店
第14回  冬の海眺めてカレー食らう午後 海の見えるカレー
  宮之浦「Bay's Caf'e Jane」
  安房   「和茶灯(わさび)」
第13回 食べることそれは生のあかしなり 木枯らしの吹き荒れる海ボンカレー
  陳列棚のカレー 2
第12回 穏やかな秋のバザーにカレーあり マイルドバザーカレー
  安房  「すみれ幼稚園」
第11回  カレーには味も値段も決まりなし あっぱれなカレー
  原     「ノマドカフェ」
  尾之間「モッチョムビュー トーン」 
  安房  「田中屋」
第10回  一皿に カレーの美学 香り立ち アートなカレー
  麦生  「屋久島ヴィータキッチン」
  原     「屋久島 ノマド カフェ」
第9回  賭け事は性に合わぬとシカトする 玄関口のカレー
  小瀬田「エアポートやくしま」
  宮之浦「観光センター」
第8回  おいどんにカレーうどんは似合わぬか Aコープのカレーうどん
  陳列棚のカレー
第7回  南蛮の香り受け継ぐカレー蕎麦 熊毛郡ゆかりの南蛮蕎麦
  宮之浦「楓庵」
  安房 「きらんくや」
第6回  カレーから立ち現れし店の主 レストランのカレー
  安房 「ファミリーレストラン かもがわ」
  安房 「サンパウロ」
  原    「オリオン」
  安房 「よろん坂」
  尾之間「トーン」
第5回  カレー屋と聞けば目覚める腹の虫 カレー専門店
  小瀬田「屋久島カレー茶房 ハイビスカス」
  宮之浦「カレー専門店 屋久島カレー グロース」
  安房   「カレーと多国籍料理の店 Amara」 ※2016年閉店
第4回  手で割って頬張る楽しさカレーパン カレーパン事情
  宮之浦「ひらみ屋」
  安房   「ヒロベーカリー」
  安房   「しいば」
  尾之間「Pain de Sucre パン・ド・シュクル」
第3回  風を待つ街にカレーの風が吹く 「本格」「印度風」ばやり
  島外のカレー
第2回  一皿の命の旨味有難し 樹林のオーロラカレー
  小瀬田「樹林」
第1回  独りでもカレーが繋ぐ人の縁 萬萬亭の500円カレー
  小瀬田「萬萬亭」