屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島ラーメンの細道 第2回 枠を打ち破り続けるラーメン界

拝啓

そもそも「ラーメン」の定義は何か。Wikipediaによれば……

ラーメンとは、中華麺とスープ、様々な具を組み合わせた麺料理。
出汁、タレ、香味油の3要素から成るスープ料理としての側面も大きい。
漢字表記は拉麺、老麺または柳麺。別名は中華そばおよび支那そば・南京そばなどである。

とのことですが、私にとってのラーメンは名古屋で幼少時に馴染んだ醤油系の出汁薄っぺらいチャーシューとゆで卵、メンマとナルトとノリとネギが載り、胡椒を振って食べる中華そば。あるいは30数年間食べ続けた京都の「天下一品」や「ラーメン藤」や「第一旭」のこってり系。「あなたにとってのラーメンとは」の答えはカレー以上に千差万別かもしれません。

日本の「ラーメン」は本家中国の「拉麺」と全く別物のように進化の枝を繁茂させ、全国各地の御当地ラーメンは花盛り。今やラーメンとはこういうものだという既成概念を突き崩すことこそがラーメンの本性であるかのようです。

というわけで、この「屋久島ラーメンの細道」を歩むにあたって、その探訪の範囲を決めておかないと道に迷いそうです。好みは別にして萬来軒のラーメンが島のラーメンの縄文杉であるとすれば、トカラ列島を臨む栗生の塚崎タイドプール辺りに位置するのが……

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先日再開したばかりのAmaraさんの「屋久島トビウオ・トムヤンクン」。レモングラスとショウガの風味が食欲をそそります。麺を食べた後のスープに白ご飯を入れて雑炊のように食べるのも良かろうかと存じますが、今回は島の風情を楽しむために永田豆腐の「焦がしにんにく冷奴」をお供にしました。

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トムヤムクン (ต้มยำกุ้ง, Tom yum goong) は、レモングラスを使った酸味が特徴のタイ料理。「トム (ต้ม)」は煮る、「ヤム (ยำ)」は混ぜる、「クン (กุ้ง)」はエビのことなので、エビ入りトムヤムスープ。鶏が入っていたらトムヤムガイ(ต้มยำไก่)、魚肉ならトムヤムプラー(ต้มยำปลา)となるわけで、Amaraさんのは屋久島産のトビウオすり身が入ったスープ麺なのでトムヤムプラーの名ががふさわしいかも。

こんなうんちくに「トムヤンクンにせよトムヤンプラーにせよ、中華麺じゃなくて米粉の麺なんだからラーメンとは呼べんやろ!」との声も聞こえてきそうですが……

しかし!日本のラーメン界はすでにそうした一線まですでに超えているのです。

小林生麺グルテンフリーヌードル=米粉ラーメンもあれば



インスタント麺大手のエースコックは米粉を混ぜた「ラーメン新麺組」を発売



日清の小麦粉の麺で作ったトムヤンクンヌードルは大ヒット

製品写真


というわけで、Amaraさん自身はたぶん「ラーメン」を作っているという意識は全く持っていらっしゃらないかと存じますが、勝手ながら「屋久島トビウオ・トムヤンクン」を島のラーメンとそれ以外の麺類との境界例とさせていただきます。

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萬来軒とAmaraの間を巡る屋久島ラーメンの細道。次回は島の特産品を使っているあのラーメンです。

敬具


屋久島ラーメンの細道インデックス

  安房 萬来軒の「ラーメン定食天津飯セット」