屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

春の陽にまどろむ夢の果ていずこ

[六角堂スパイシーブックカフェ・イートハーブからのお知らせ]

誠に申し訳ございません m(_ _)m
15日(日)~17日(火)の営業はお休みさせていただきます
次回は、22日(日)から営業させていただきます
ひょっとしたら21日(土)春分の日もあるかも

拝啓

懸案の春カレー。島の無人市にはスナップエンドウや実エンドウ、サヤエンドウなど春めいた緑の豆類が並ぶようになりました。カレーの添え物として使わせていただいていた島の豆を、もうひと工夫して使いたいところです。そしてニンジン。イートハーブでお出ししているスープの中心はスロージューサーで絞ったニンジンジュース。このニンジンもまた島の旬の一つとして、もうひとひねりしてお出しできればと思案中です。

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明るい陽射しが心地よい季節。のんびり海を眺めながらお食事やお茶を召し上がっていただけるよう、デッキに六角テーブルを増設しました。お子様連れ、お一人様歓迎です。どうぞスパイシーブックカフェ・イートハーブでごゆっくりお過ごしください。

さて先日、童話作家の松谷みよ子さんが2月28日に89歳で亡くなったとの訃報を知りました。追悼の意を込めて、今回の絵本特集は『松谷みよ子特集』です。

松谷さんは『いないいないばあ』をはじめとする赤ちゃん絵本シリーズ、『龍の子太郎』をはじめとする民話シリーズ、『二人のイーダ』をはじめとする平和を願うシリーズなどで世代を超えて親しまれてきた作家です。

子供向けのお話というより、何やらきな臭い空気の漂い始めたこの日本の大人たちこそが今、もう一度じっくり読み返してみる価値のある本も多数あります。

六角堂にある松谷さんの絵本は6冊、単行本が5冊、文庫本が3冊、紙芝居が1冊の計15冊。全冊をイートハーブの楕円テーブルやカウンターに並べておりますので、お気軽にお手に取ってご覧ください。

■ 『わたしのいもうと』 新編・絵本平和のために 5
作:松谷みよ子、絵:味戸ケイコ、発行:偕成社1987年12月初版

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何気ないいじめに傷つき、学校に行けず心を閉ざした私の妹の最後は……。作者のもとに届いた一通の手紙から生まれた絵本。平和シリーズの第五作。戦争は身近ないじめや差別と繋がっていることに気付ける人でありたいものです。

■ 『まちんと』絵本・平和のために
作:松谷みよ子、絵:司修、発行:偕成社1983年8月初版

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昭和20年8月6日の朝、原爆の火に焼かれた女の子は、トマトを口に入れてもらうと「まちんと、まちんと」とねだりました。戦争を語り継ぐということは「説明」することではないのだと気付いた松谷さんの一作です。

■ 『ぼうさまになったからす』 絵本・平和のために 4
作:松谷みよ子、絵:司修、発行:偕成社1986年6月初版

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戦争が続いて村じゅうの男たちが遠い戦場へ行き、やがて村のいたるところにいたカラスの姿が消えました。カラスたちはどこへ何をしに行ったのでしょうか。

■ 『つるのおんがえし』 日本むかし話
作:松谷みよ子、絵:岩崎ちひろ、発行:偕成社1966年10月初版

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人間に命を助けられた鶴が、自分の羽を抜いて美しい布を織るというおなじみの民話。人間の欲というか愚かさというか、岩崎ちひろの絵がその悲しさ切なさを淡く美しく描いた逸品です。

■ 『うりこひめ』 松谷みよ子むかしむかし
作:松谷みよ子、絵:司修、発行:童心社2007年4月初版

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うりから生まれた瓜子姫。ある日あまんじゃくが現れて、瓜子姫はさらわれてしまい……。様々なバリエーションのある瓜子姫のお話ですが、松谷さんらしい語り口が民話の雰囲気を掻き立てます。

■ 『おとうふさんとこんにゃくさん』 あかちゃんのむかしむかし
作:松谷みよ子、絵:にしまきかやこ、発行:童心社1991年6月初版

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棚から落ちたおとうふさんは全身打撲で入院。それを見舞いに行くこんにゃくさんでしたが、話は何やら変な具合に。赤ちゃん絵本の体裁をとっていますが、松谷さんには珍しいブラックナンセンス絵本です。

これら絵本のほか、お目に留まりやすいように展示している松谷さんの作品は以下の通りです。

単行本
□ 『まえがみ太郎』絵:渡辺学、発行:福音館書店1965年12月初版
□ 『モモちゃんとプー』絵:菊池貞雄、発行:講談社1970年11月初版
□ 『ふたりのイーダ』絵:司修、発行:講談社2006年6月新装版(1969年初版)
□ 『死の国からのバトン』絵:司修、発行:偕成社1976年2月初版
□ 『あの世からの火』絵:司修、発行:偕成社1993年4月初版

文庫本
□ 『貝になった子ども』挿絵:司修、角川文庫
□ 『お月さんももいろ』挿絵:司修、角川文庫
□ 『ちいさいモモちゃん』挿絵:菊池貞雄、講談社文庫

紙芝居
□ 『うりこひめとあまのじゃく  松谷みよこ民話珠玉選』画:梶山俊夫、発行:童心社

何やらせわしげに選挙カーが県道を走り交う昨今。先代から何を受け継ぎ、次世代に何を引き継ぐのか、絵本を眺めながらしばし思いをめぐらすお彼岸にしていただければ幸いです。

敬具