屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島カレー事情 第8回 おいどんにカレーうどんは似合わぬか 尾之間Aコープのカレーうどん

拝啓
 
名古屋生まれの私が初めて京都のうどんを食べたのは、大学受験の時に近鉄丹波橋駅の構内にあった立ち食いうどん屋でのことでした。
その時の衝撃は今でも忘れられません。
うどんの出汁が透明なのです。
名古屋のうどん(と言うよりきしめん)の出汁は関東風で醤油がかった茶色をしています。
それで、一緒に食べた友人と二人「けちって駅の立ち食いウドンを食べたのが失敗だ。
汁に味も色も付いてない」と囁き合ったものです。
 
それから38年間、京都で暮らす内に昆布出汁が効いて汁を最後まで飲み干せる関西風のうどんや、この十年ばかり香川県から進出してきた讃岐うどんのチェーン店の味が舌に馴染んでいました。
 
そして屋久島に来て、戸惑ったことの一つが「うどん屋」がないこと。
知る限り看板に「うどん」と掲げているのは安房の『銀月』ぐらいしかありませんが、お昼は営業していません。
 
定食屋や蕎麦屋でうどんを出すところはありますが、「うどん屋カレーうどんを食べたい」と願う方にとって、屋久島は苦難の地と言えるかもしれません。
 
聴く人によれば、「屋久島ではうどんはお店で食べる食べ物ではなく、乾麺を買ってきて家で作るものだ」とのこと。
またある人は「うどんは加ト吉の冷凍うどんが一番おいしい。
鹿児島では麺といえばラーメン。
カレーうどんなど食べる人はめったにいないし、カレーラーメンなどあり得ない」とのこと。
ただし、Aコープにはカレーうどんを売っているという情報を元に尾之間のAコープに走りました。
すると、今まで気付きませんでしたが、あるではありませんか、二種類も。
 
一つは、鹿児島協同食品株式会社「鹿児島産 甘藷でんぷん使用 ゆで カレーうどん 香りのスープ付」(鹿児島県いちき串木野市大里1001)。
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もう一つは、五木食品株式会社の「五木庵 カレーうどん 生タイプ ねぎ・にんじん入り カレースープ付」(熊本県熊本市城南町坂野945)。
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早速「召し上がり方」を忠実に守って調理しました。
 
その結果は、二種類ともカレーうどんというよりはカレースープに泳いでいるうどんといった感じでした。
ただ、それぞれに学ぶべきことを発見しました。
 
「美味しさを伝えるつながる鹿児島」とパッケージの右端に小さく書かれているKYOUSYOKUのうどんは「麺の粉に1割甘藷でんぷんを使用しております」とのこと。
微かな甘みがあるのかと思いきや、40年以上前に学校の給食で出てきたカレーうどんを思い起こさせるある種の懐かしさを感じさせてくれる味でした。
こちらの調理法は「ゆでめん」だからか、沸騰したお湯にまず粉末スープを溶かし、そののち麺を入れてゆでるといったものでした。
 
一方「生タイプ」の「五木」は、麺をゆでた後スープを入れて煮込むものでした。
こちらのうどんでは大切なことを学びました。
「ねぎ・にんじん入り」と書かれていて、パッケージには筒切りの青ネギや乱切りにんじんが印刷されていたのですが、袋を開けてみてもそれらしい「具」はなく、スープに混ざっていたのは細かな刻みネギとニンジンらしき破片でした。
改めてパッケージを見ると写真にはしっかり「調理例」書いてありました。
こういう但し書きをちゃんと書き忘れないことがトラブルを避ける必要条件なのだと肝に銘じました。
 
さて、下の二つの「調理後」の写真。どちらがどちらのカレーうどんか、一目で分かった方は立派な屋久カレーうどん通です。
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ヒントは微かな「破片」です。
 
近い将来、六角堂香草食堂スパイシーブックカフェ・イートハーブの裏メニューとして「キーマカレー掛け讃岐うどん」をご提供いたします。
その時には是非ご賞味ください。
新たな屋久カレーうどんの夜明けとなるかもしれません。
 
敬具