屋久島六角堂便り~手紙

自然と人が織りなす屋久島の多様性を屋久島六角堂から折々にお伝えします

屋久島カレー事情 第1回 独りでもカレーが繋ぐ人の縁 萬萬亭の500円カレー

拝啓
 
今日も一日降ったり止んだりでしたが、流し虫も来ず過ごしやすい夜になりました。
 
さて、屋久島に移住することを検討し始めた8年ほど前、島に来て精を出したことは山に登ることでも森を歩くことでもなく、寝ることと食べること。
移住者が経営しているいろんなお宿に泊まり、地元の方が出入りする飲食店でその店おすすめのメニューを食べることでした。
 
その間20軒以上のお宿に泊まり、50軒以上のお店で食事をしたりパンを買って食べました。
特に重点を置いたのがカレー。
知る人ぞ知る宮之浦の「うふふ」カレーに始まり、蕎麦屋のカレーまで食べ歩いてきました。
そんな中で「この島にもカレーの数ほど人の人生があるものだ」、「カレーを透かして島の風景や人情を眺めてみるのも悪くはない」と思うようになりました。
屋久島カレー事情」の始まりです。
 
先月から小瀬田の韓国料理やプコチュさんの脇に「萬萬亭」と書かれた赤い看板を目にするようになりました。
屋久島カレー」の文字が気になって仕方がありませんでした。 
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車一台分の細い道を数百メートル分け入った先に、六角形かと見まがうお店がありました。
お店のメニューは至極シンプル。
昼はカレーのみ、夜は飲み放題の焼シャブのみ。
 
注文してから待つことしばし、まずは白ごはんが盛り付けられた深皿が運ばれ、おもむろに深皿入りのカレーが登場しました。
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マッシュルームと豚コマ肉のたっぷり入ったなめらかなカレールー。
白ごはんの脇には薄い飴色のラッキョウと真っ赤な福神漬けが緑鮮やかなアシタバの上に添えられています。
 
お年を召したご主人は、島外から移住されてこられて独り暮らしとのこと。
 
カレーには特段のこだわりはないご様子でしたが、500円という島随一の低価格にはたくさんのお客様に来ていただきたいという願いを感じました。
それであえて、「屋久島カレー」の由縁はお尋ねしませんでした。
 
ただ、食後すぐに立ち寄ったドラッグモリでご主人とばったり。
カレーの仕込みに必要な食材を仕入れに来られたご様子。
島の外からやってきて島の暮らしの中心ともなりつつあるドラッグモリ。
それが独り暮らしの移住者を下支えして島の人との縁を繋いでいく。
 
「ああ、それが屋久島カレーなんだ」と感慨ひとしおでした。
 
敬具